2025.04.08
全国初「カスハラで氏名公表」の条例が桑名市で施行。制裁措置は実効性を持つのか?【雇用クリーンプランナー】
■ ニュースの概要・引用元の紹介
ニュースURL: NHK 三重 NEWS WEB
引用内容:
三重県桑名市では、客などからの迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に対して、必要と認められれば氏名を公表する制裁措置を定めた全国初の条例が、2025年4月1日から施行されました。条例の運用に関して、市長に助言する6名の専門家委員会が4月7日に初会合を開きました。市の相談窓口へのカスハラ相談は現時点では寄せられていませんが、今後の実施に注目が集まっています。
■ 問題点の把握
本件は、カスタマーハラスメント(カスハラ)を抑止するために自治体が条例によって“実名公表”という制裁措置を設けた、全国初の取り組みです。対象となるのは、業務妨害や暴言などの悪質な迷惑行為を繰り返す利用者であり、氏名公表により社会的制裁が発生するという点で、大きな抑止効果が期待されています。ただし、プライバシー保護や誤認のリスクなどもあり、その適用には慎重な判断が求められます。
■ 問題点・深刻化する理由
- 制裁措置としての“実名公表”の社会的インパクト
氏名公表は法的・社会的影響が大きく、濫用すれば名誉毀損やプライバシー侵害にもなりかねません。制度設計としてのバランスが問われています。 - 基準の不透明性と主観的判断のリスク
「どこまでがカスハラか」はグレーゾーンが多く、通報者の感情や認識に依存しがちです。公平性を担保する判断基準の整備が必要です。 - 事業者・従業員側の相談体制未整備
制度があっても、現場での相談窓口や対応マニュアルが整備されていなければ、通報件数が増えず、制度自体が形骸化する懸念があります。
■ 雇用クリーンプランナーの視点でみる具体的な対策
カスハラは、店舗や施設の従業員が日常的に直面する深刻な労務リスクです。条例の活用と並行して、現場レベルの制度設計と教育が不可欠です。
● 通報・対応マニュアルの明文化と共有
カスハラに該当する行為、対応の手順、エスカレーション先を明確にしたマニュアルを全従業員に配布し、定期的な研修で内容を徹底します。
● 感情労働に対するメンタルヘルスサポート
暴言や過度な要求に晒される従業員のストレスは見えにくいものです。カウンセリングや相談窓口、産業医との連携を強化し、精神的安全性を確保します。
● 顧客向けポリシーの明文化と掲示
「当施設では従業員に対する不適切な言動を許容しません」といったカスハラ防止ポリシーを明文化し、施設内やWeb上に掲示することで、利用者にも対等な関係性を意識してもらうきっかけになります。
■ まとめ(読者への注意喚起・アドバイス)
桑名市の条例は、カスタマーハラスメントへの対抗手段として「社会的責任を可視化する」という新たなアプローチです。制度の実効性を高めるには、通報体制や判断基準、相談窓口の運用など、自治体と現場が一体となって運用する必要があります。自社でも「うちは大丈夫」と思わず、カスハラ対応の整備を今一度見直してみてください。
■ 「雇用クリーンプランナー」資格取得のススメ
「雇用クリーンプランナー」は、ハラスメント対策・労務管理・職場改善を実践的に学べる資格です。カスハラやパワハラ、セクハラへの対応方法、相談窓口の設計、研修講師としての活躍など、多様な現場で応用可能。制度と職場をつなぐ人材として、今注目されています。
公式サイト:https://caa.or.jp
※本記事は一般的な見解に基づくもので、特定の法的アドバイスを提供するものではありません。
ハラスメントや労務トラブル等でお困りの場合は、弁護士や各自治体の相談窓口にご相談ください。