2025.10.25
退職代行「モームリ」運営会社にパワハラ体質──社長の“圧迫LINE”と社員晒し、元従業員が語る実態
【出典】集英社オンライン(2025年10月24日配信)
「論破してみろよ」モームリの社長は皆の前でパワハラ、社員のミスを集計して共有…元従業員は「もう無理!」と悲鳴…社長からの“圧迫LINE”の中身
警視庁が家宅捜索、退職代行「モームリ」運営会社でパワハラ疑惑
退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスが、弁護士法違反の疑いで警視庁の家宅捜索を受けました。
累計利用者4万人超、業界トップシェアを誇る同社では、元従業員が社内のパワハラ体質を証言。社長による公開叱責やLINEでの圧迫的な指示など、過剰な管理が日常化していたといいます。
「論破してみろよ」──社長の圧力と“ミス晒し文化”
取材に応じた元従業員によると、谷本社長は社員のミスを集計した「ミスのPDF」を作成し、グループチャットで共有。
ミスの多い社員の名前を赤字で強調し、「こんなにミスあるのヤバくない?」などの言葉を添えたメッセージを送信していました。
さらに「論破してみろよ」と発言するなど、会議中に部下を追い詰める行為もあったとされています。
社員の間では、恐怖と萎縮が広がっていたといいます。
社内で退職代行を使う社員も “ブラック企業化”の皮肉
こうした環境に耐えかね、同社社員の中からも退職代行サービスを利用して辞めるケースが相次ぎました。
初めて自社社員が退職代行を使った際、谷本社長は「ネタにしよう」とYouTube動画に投稿しましたが、批判が殺到し削除。
社内では「うちの方こそ退職代行を使われるべきだ」との声も上がっていたといいます。
理想として掲げた「退職代行のいらない社会」は、社内の現実と乖離していました。
理念と現場の乖離 「助けたい」が「支配」に変わる瞬間
元従業員によれば、現場社員の多くは「誰かを助けたい」という思いで働いていましたが、経営層は収益優先に傾き、職場は次第に「恐怖で動く組織」に。
社長はSNS上でも社員を想起させる投稿を行い、間接的なパワハラ発信が続いたといいます。
理念が自己矛盾を起こし、「モームリ(もう無理)」という社名が皮肉にも現場の心境を象徴していた形です。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──理念の暴走を防ぐ「内部統制」の再設計を
「人を助ける」理念を掲げる企業ほど、内部での倫理破綻が起きやすいとKCPは指摘します。
目的が善であっても、手段が暴力化すれば、理念は支配の道具になります。
KCPは次の三点を提言します。
① ガバナンスと倫理教育の分離
経営層が理念を掲げるだけでなく、独立した倫理委員会を設置し、社員の声を拾う仕組みを持つこと。
② 評価制度の透明化
ミスや失敗を懲罰の対象ではなく改善の機会として扱う文化を浸透させること。
③ SNS発信の社内基準化
経営者の発信をガイドラインで管理し、個人を特定・想起させる投稿を禁止すること。
結語:「モームリ」を生まない組織へ
理念や志は、透明な仕組みと誠実な対話によって初めて信頼に変わります。
「人を助けたい」という言葉の裏で、社員が「もう無理」と感じる職場を生まないために。
KCPは今後も、理念と倫理のバランスを保つための組織設計を支援していきます。
