2025.03.12

99のセクハラ指摘の前町長指示で職員がパワハラ認定。岐南町役場の懲戒処分事例から考える対策【雇用クリーンプランナー】

■ ニュースの概要・引用元の紹介

ニュースURL: 岐阜新聞WEB

引用内容:
岐阜県岐南町は2025年3月10日付で、40代の男性職員を戒告の懲戒処分としました。原因となったのは、前町長・小島英雄氏からの指示に基づき、業務上必要のない同僚職員の行動を報告した行為が「パワーハラスメント」に該当すると判断されたためです。前町長に関しては、女性職員に対する身体接触など「99件に及ぶセクハラ」が第三者調査委員会で認定され、昨年3月に辞職していました。

■ 問題点の把握

本件は、岐南町役場の男性職員が、前町長である小島英雄氏の指示を受けて、同僚の行動を不必要に報告した結果、それがパワーハラスメントと認定された事例です。
もともと小島前町長は「99件ものセクハラ行為」が第三者調査委員会により認定され、2024年3月に辞職している人物です。今回、同僚の行動を報告した男性職員は「上司(前町長)の命令に従っていた」と釈明していますが、ハラスメント相談窓口に寄せられた訴えを受けた町の防止委員会は、「業務と関係のない情報報告は不当であり、同僚の尊厳を害する行為だ」としてパワハラ認定に至りました。
このように、上司の命令に基づいた行動であっても、業務上の必要性が乏しい場合や、職員間の信頼関係を損ねる場合は、パワハラの要件を満たす可能性があることが明確になったといえます。

■ 問題点・深刻化する理由

  • 「上司の命令」と「業務命令」の境界が曖昧
    前町長が行った指示が、本当に業務上必要だったのかが疑わしい点が問題です。職場改善を目的としない個人的な興味や意図による「報告指示」は、命令を受けた職員にとってもリスクが高く、ハラスメントを助長しかねません。
  • 「99のセクハラ」と組織の隠蔽体質
    前町長が過去に99件ものセクハラ行為を認定されていた背景から、組織全体がトップの不適切行為に対して十分な対応を取っていなかった可能性があります。こうした隠蔽体質や黙認の空気が、被害者や良心的職員を声の上げづらい状況に追い込む要因となります。
  • 地方自治体のコンプライアンス意識の遅れ
    パワハラ防止法が施行されているにもかかわらず、公的機関での労務トラブルが後を絶たないのは、コンプライアンスや雇用管理体制の整備が追いついていない面が大きいです。公権力のヒエラルキーが強い自治体ほど、トップの行動が職員に波及しやすく、問題が深刻化しやすい傾向があります。

■ 雇用クリーンプランナーの視点でみる具体的な対策

本件は、上司からの指示が必ずしも正当化されるわけではないことを示す好例といえます。パワハラ防止法や地方公務員法の観点から、自治体や公的機関での雇用管理をどう進めるべきか、雇用クリーンプランナーとしては以下のような対策を提案します。

● 第三者委員会の設置と調査の透明性確保

既にセクハラ認定を受けていた前町長の指示が絡んでいる以上、組織内だけでの調査では公平性に疑問が生じやすいです。外部の弁護士や雇用クリーンプランナーを交えた第三者委員会を設け、匿名での聴取やヒアリングを実施し、内部告発者保護と事実究明を両立させる必要があります。

● 命令の正当性を検証する仕組みづくり

上司の命令が、業務上本当に必要かどうかを検証できる仕組みが不足していると、部下が不適切な行為に加担させられるリスクが高まります。大まかには以下のような策が考えられます。
・指示を出す際に「目的」「対象範囲」「期限」などを明文化
・職員が「これは不当では?」と感じた場合、相談できる窓口を設ける
こうした職場改善策を導入することで、違法または不当な命令が実行される前に軌道修正が可能となります。

● ハラスメント相談窓口・内部通報制度の周知と強化

地方自治体においても、ハラスメント相談窓口や内部通報制度を充実させることが欠かせません。特に首長や幹部が不適切行為に関与している場合、職員が上層部の意向を恐れて黙ってしまうケースが少なくありません。
外部の雇用クリーンプランナーや弁護士を活用した「第三者通報窓口」の設置、通報者を保護する明確なルール化(処罰保護の廃止・匿名性保証)などが労務トラブルの拡大を防ぐ鍵となります。

■ まとめ(読者への注意喚起・アドバイス)

今回の岐南町事例では、前町長による「99のセクハラ」行為が大きく報じられる中で、新たに「同僚職員の行動を報告する」ような形のパワハラも認定されました。上司やトップが不適切行為を行った場合、職員が「命令だから仕方ない」と従ってしまいがちですが、その行為が労務トラブルに直結する危険性は高いと認識する必要があります。
もし似たような環境に置かれ、「これは不当では?」と感じる場合は、早めにハラスメント相談窓口や公的機関、弁護士へ相談してください。パワハラ防止法や地方公務員法の趣旨に照らし、問題が疑われるならば早期対応が被害拡大を抑止する鍵となります。

■ 「雇用クリーンプランナー」資格取得のススメ

パワハラ、セクハラ、カスハラなど、複雑化するハラスメント問題を解決するには、専門的知識が不可欠。そこで注目されるのが「雇用クリーンプランナー」資格です。
この資格を取得すると、パワハラ防止法などの労働関連法令をはじめ、ハラスメント相談窓口の運営や具体的ケース対応のノウハウを幅広く習得でき、自治体や企業でのハラスメント防止策をリードする役割が担えます。
詳しくは公式サイトを参照ください:https://caa.or.jp。安全で公正な職場づくりを推進し、労務トラブルを未然に防ぐエキスパートとして、雇用クリーンプランナーの活躍が期待されています。

※本記事は一般的な見解に基づくもので、特定の法的アドバイスを提供するものではありません。
ハラスメントや労務トラブル等でお困りの場合は、弁護士や各自治体の相談窓口にご相談ください。

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