2025.07.19
「アカハラ」は学びの敵──アカデミックハラスメントを防ぐための総合ガイド|雇用クリーンプランナー
研究室・ゼミ・講座など、学問を追究するべき場所で起こるアカデミックハラスメント(アカハラ)。
文部科学省の調査によると、大学院生の約4人に1人が「指導教員からの不適切な言動」を経験していると回答しています。
本稿ではアカハラの定義・典型事例・被害がもたらす影響、そして大学・学生・社会が取るべき対策を整理します。
■ 1. アカハラの定義と6類型
文部科学省ガイドラインでは、アカハラを
「教育・研究の優越的立場を悪用し、学生・院生・若手研究者に精神的・身体的苦痛を与える行為」
と定義し、次の6類型を示しています。
- 研究データ・成果の不当な搾取
- 執拗な叱責・人格否定の暴言
- 学位取得・単位認定の故意の遅延
- 過度な私的業務の強要(家事・雑務など)
- 差別的言動(ジェンダー・国籍・障害)
- 性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)
■ 2. 発生背景――3つの構造課題
- 指導体制の閉鎖性:教員評価が外部に見えにくく、学生が声を上げにくい。
- パワーバランスの偏り:学位・就職推薦・研究費を握る指導者が絶対的権力を持ちがち。
- 成果主義のプレッシャー:論文数・競争的資金が教員の評価指標となり、過剰要求が発生。
■ 3. アカハラがもたらす3重苦
| 領域 | 主な影響 |
|---|---|
| 学問の自由 | 研究テーマ・データ捏造の強要、学術不正リスク |
| キャリア | 学位遅延・推薦状拒否による就職難 |
| メンタルヘルス | うつ・適応障害・自殺企図、休学・退学 |
■ 4. 最近注目されたアカハラ事例
- 国立大学医学系研究科で「月200時間超の実験」を強要→大学が処分、公表。
- 私立大理工学部で「論文共著を外す」と脅し、データ独占→科研費返還・謝罪。
- 芸術系大学での「容姿侮辱・作品破壊」→学生が提訴し和解金1,200万円。
■ 5. キャンパスレベルの実務フロー
- 規程整備:就業規則・学生ハンドブックにアカハラ禁止と懲戒を明記。
- 匿名通報システム:学外第三者機関を窓口とし、報復を防止。
- 複数指導制:主指導+副指導+メンターの3人体制で権力集中を緩和。
- 研修義務化:教員FDに「ハラスメント防止・心理的安全性」を必修科目として導入。
- 透明性向上:学位審査・研究成果の進捗をオンラインで共有し、公正性を担保。
■ 6. 相談・証拠保全のポイント
- 日付・発言を書いた行動記録ノートを作成。
- メール・チャット・音声などデジタル証拠をクラウド保存。
- 学内相談室・弁護士・外部NPOへ早期相談し、心身への影響を医師に記録してもらう。
■ 7. 専門資格とのシナジー
企業研究所・産学連携施設では、雇用クリーンプランナーなどハラスメント専門資格を持つ担当者が研究員相談窓口に立つケースが増加。
法的知識とメンタルケア対応を兼ね備えた窓口は、研究不正の抑止にも有効です。
■ 8. まとめ──『学びの場』を守るために
アカデミックハラスメントは研究者の卵だけでなく、学術そのものの信頼性を揺るがします。
①規程整備 ②指導体制の多元化 ③通報とケアの仕組みを早急に整え、「問いを立て挑戦できる学びの場」を取り戻しましょう。
■ FAQ――アカハラに関するよくある質問
- Q. ボランティア程度の雑務もアカハラになりますか?
- 教育・研究の目的を逸脱し、学位取得や研究時間を著しく妨げる場合はハラスメントになります。
- Q. 指導教員に直接言いづらいときは?
- 副指導教員・学科長・学内ハラスメント窓口に相談し、証拠を提出してください。
- Q. 大学院進学を控えているが、研究室選びで注意点は?
- OB・OGへのヒアリング、研究室ガイドライン公開の有無、相談窓口の実績などを確認しましょう。
