2025.07.20

「ホワハラ」とは?──“ホワイト企業”の裏で起こる新しいハラスメントの実態と対策|雇用クリーンプランナー

働き方改革が浸透し「残業ゼロ」「有休100%取得」を目指す企業が増える一方で、ホワハラ(ホワイトハラスメント)という副作用が顕在化しています。
ホワハラとは、“ホワイト企業”を掲げるあまり、ルール順守が過度なプレッシャーとなり、従業員を追い込む行為を指します。
残業をするなと言われつつ業務量は減らず、結果的に持ち帰り仕事・サービス残業が横行──そんな矛盾が生じていないでしょうか。
本稿ではホワハラの定義・背景・事例・リスク、そして企業と個人が取るべき対策をまとめました。

■ 1. 定義と具体例

ホワハラは「ホワイト化」を進める過程で、①過度なルール強制 ②不十分な業務再設計 ③空気による圧力が重なり、従業員の自由と健康を害するハラスメントです。

  • 残業ゼロ強制型:業務量は据え置きのまま「残業するな」と叱責。終わらずに持ち帰り仕事が常態化。
  • 有休消化強制型:「30日取得しろ」と言われるが引継ぎ・代替要員なし。休めても結局休日にメール対応。
  • 評価ペナルティ型:「時間内に終わらないのは自己管理不足」と低評価・昇格見送り。
  • 見せかけ改善型:システム切断・PC自動シャットダウンで表面的に残業を封じるだけ。

■ 2. 発生背景――3つの構造課題

  1. 数値目標偏重:残業時間・離職率などKPI達成が目的化し、手段が硬直化。
  2. 業務プロセス再設計不足:IT化・権限委譲・優先度整理が追いつかず、現場にしわ寄せ。
  3. ホワイト企業ブランド競争:採用広報や投資家向けに「ホワイト」を演出したい思惑が先行。

■ 3. 個人・組織が被る3大リスク

領域 主な弊害
メンタルヘルス 罪悪感・隠れ残業で慢性疲労、適応障害の発症リスク
生産性 早帰り→深夜私用PC作業で情報漏えい・エラー増加
コンプライアンス 勤怠乖離・偽装報告が常態化し、労基署是正勧告リスク

■ 4. 実際にあったホワハラ事例

  • IT企業A社:全社残業ゼロ宣言後、開発チームがVPN自宅接続で月40時間のサービス残業。翌年に過労うつで休職者3名。
  • メーカーB社:有休取得率100%目標を掲げ、上司が取得計画書を強制。繁忙期に無理矢理休んだ社員が評価Dランクに。
  • ベンチャーC社:20時PC自動シャットダウン導入。終わらない分はスマホでスプレッドシート編集→情報漏えい事故発生。

■ 5. 組織対策――「見せかけホワイト」からの脱却

  1. 業務量・人員の再設計:業務棚卸しとRACIで非効率タスクを削減・委託。
  2. 成果ベース評価:時間ではなくアウトプット評価へ移行し、裁量労働とハラスメントの境界を明確化。
  3. 勤怠実態モニタリング:PCログ×クラウド接続ログで隠れ残業を可視化し、本質的な改善を支援。
  4. 心理的安全性サーベイ:早帰りプレッシャーや罪悪感スコアを定点観測。
  5. ホワハラ相談窓口:雇用クリーンプランナー等の専門資格者が一次対応し、業務改善部門へフィードバック。

■ 6. 従業員側のセルフケア

  • タスクと時間を可視化し「この業務と残業禁止は両立不可」と上司に事実提示。
  • 勤怠システムへ正確に実働時間を入力(改ざんはNG)。
  • 過度プレッシャー発言は日時・発話者・内容をメモ or チャットログ保存。
  • 心身不調は産業医・EAPに早期相談、「働き方改善計画」作成を依頼。

■ 7. 労務・法務チェックポイント

  • 労働基準法:実労働時間を正しく把握し、みなし労働制度の濫用を避ける。
  • パワハラ防止法:過度な残業禁止指示が職務上の「不当な要求」に該当する恐れ。
  • 個人情報保護法:私物端末での業務・外部クラウド使用は情報漏えいリスク。

■ まとめ──「ホワイト」の本質は“時間短縮”ではなく“余白の質”

ホワハラは善意の制度を形骸化させ、従業員に隠れ残業と罪悪感を植え付ける新たなリスクです。
鍵は「ルール→業務設計→カルチャー」の一貫性。
①業務量の適正化 ②成果評価 ③対話とサーベイを回し、従業員が胸を張って定時退社できる職場を目指しましょう。
形式だけのホワイト企業ではなく、「働きやすさ」と「働きがい」が両立する真のホワイトへ——今こそホワハラ対策をスタートする時です。

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