2025.07.26
ハラスメントと労働基準法の接点──労基署が動くラインと企業が守るべき5つのポイント|雇用クリーンプランナー
パワハラ・セクハラなどハラスメント対策は「労働施策総合推進法」「男女雇用機会均等法」が中心と思われがちです。しかし、現場で最初に相談窓口となる公的機関は多くの場合労働基準監督署(労基署)。
労基署が根拠とする法律は『労働基準法』。本稿では、ハラスメントと労働基準法が交差する具体場面を整理し、企業が講じるべき実務対策を解説します。
■ 1. 労基署が立ち入る主なハラスメント関連条項
| 領域 | 条文 | ハラスメントとの関係 |
|---|---|---|
| 長時間労働 | 第32条(労働時間) 第36条(時間外協定) |
上司が残業を断れない空気で強制→違法残業+パワハラの複合リスク |
| 賃金未払 | 第24条(賃金全額払い) | 「サービス残業が当たり前」という組織文化はホワハラ+賃金不払い |
| 安全配慮 | 第5条(危険有害業務の禁止) ※安全衛生法67条も関連 |
パワハラ・セクハラ放置は『労働環境の危険有害状態』と判断され是正勧告の対象 |
■ 2. 労基署の動き方
- 相談・申告:被害者が労基署へ「申告書」を提出(匿名可)。
- 臨検監督:監督官が帳簿・PCログ・現場を調査。
- 是正勧告書交付:労基法違反があれば期限付き是正指示。
- 再監督:是正未達成なら書類送検・刑事罰(6か月以下懲役または30万円以下罰金)が視野。
ハラスメント単体では刑事罰にならなくても、長時間労働や未払い賃金を伴うと刑事責任へ直結する点が要注意です。
■ 3. 実務対策チェックリスト
- 36協定の上限遵守:月80時間超の時間外労働は即リスク。勤怠×PCログを突合。
- 賃金台帳の精査:固定残業代制度なら〈残業時間の超過部分〉を自動計算し不足分を支払う。
- パワハラ通報=過重労働疑いとして産業医面談を即手配。
- 管理職研修:指導とハラスメントの境界、時間外命令権の適正行使をロールプレイで教育。
- 是正フローの整備:労基署から文書が届いたら『社長直下タスクフォース』で48時間以内に是正計画を提出。
■ 4. 被害者が労基署へ行く前に整理すべき3点
- 証拠:勤怠記録・給与明細・チャット・録音データ。
- 法律構成:「パワハラ」+「労働時間」「賃金」など労基法条文をセットで説明。
- 体調記録:診断書・ストレスチェック結果があると効果的。
■ 5. 資格者が窓口にいるメリット
『雇用クリーンプランナー』資格保有者は、ハラスメント100類型+労働法基礎を学習済み。
労基法違反の兆候を早期にキャッチし、社内是正→労基署申告回避を実現します。
■ まとめ──ハラスメントは「労基法違反」とセットで考える
ハラスメントを「メンタルの問題」と切り離すのは危険です。
長時間労働・賃金未払・安全配慮違反と複合化した瞬間、労基署は法違反行為として厳しく介入します。
逆に言えば、労基法コンプライアンス×ハラスメントゼロを前提にした働き方設計が、企業の成長と従業員の幸福を両立させる最短ルートです。
※本記事は一般情報をもとに作成した解説であり、具体的な法的判断が必要な場合は弁護士・社会保険労務士へご相談ください。
