2025.07.18
勝利至上主義の影で──「スポハラ(スポーツハラスメント)」が奪う未来と、その防ぎ方|雇用クリーンプランナー
体罰や暴言、過度なプレッシャー──スポーツの現場でいまも根を張るスポーツハラスメント(スポハラ)。
2024年の日本スポーツ協会調査では、中高生アスリートの23.6%が「指導者からの威圧的言動を受けた経験がある」と回答しました。
本記事ではスポハラの定義・最新事例・心身への影響、そして学校・クラブ・保護者が取るべき対策をまとめます。
■ 1. スポハラの定義と類型
スポーツ庁はスポハラを
「勝利や成績向上を理由に、指導者・先輩などが身体的・精神的苦痛を与える行為」
と定義し、以下6類型を提示しています。
- 身体的暴力(ビンタ・体罰)
- 精神的暴力(暴言・人格否定)
- 過度な長時間練習・休養剝奪
- 差別的言動(性別・国籍・障害など)
- 性的ハラスメント
- ドーピングや自爆営業的寄付の強要
■ 2. 背景にある3つの要因
- 勝利至上主義:大会・進学・スポンサー獲得など外的評価が優先されやすい。
- 上下関係の固定化:「師弟」「先輩後輩」文化が疑問を口にしにくくする。
- 専門知識の不足:発育期の身体特性や心理的安全性に関する研修が不十分。
■ 3. 心身へのダメージは“競技人生”を超える
| 影響領域 | 主な症状・リスク |
|---|---|
| 身体 | 疲労骨折、オーバートレーニング症候群、摂食障害 |
| メンタル | 不安障害、うつ症状、PTSD、燃え尽き症候群 |
| キャリア | 競技引退・転校、進学内定辞退、長期離職 |
■ 4. 注目を集めたスポハラ事例
- 2023年:強豪高校バスケ部での
「深夜まで正座叱責」→主将が適応障害で退部、指導者解任。 - 2024年:女子体操クラブで
「減量失敗は跳馬×30本罰則」→選手3名が疲労骨折、協会処分。 - 2025年:実業団駅伝チームで
「SNS禁止令違反に罰走50周」→労使協定違反でスポンサー撤退。
■ 5. 学校・クラブが取るべき実務フロー
- 規程整備:ハラスメント禁止条項と懲戒手続きを明文化。
- 教育・研修:指導者ライセンス講習に「心理的安全性」「栄養・発育学」を必修化。
- 匿名ホットライン:選手・保護者が直接通報できる第三者窓口を設置。
- 定点モニタリング:練習時間・負荷・体重変化をクラウド管理し、異常を自動検知。
- 再発防止プログラム:行為者にリフレクション研修+メンタルサポートを実施。
■ 6. 保護者・地域でできること
- 練習見学日の設定とチェックシート共有
- 保護者会でのハラスメント基礎講座
- 自治体スポーツ協会の相談窓口活用
■ 7. 専門資格で相談窓口を強化
企業スポーツ・学校部活を抱える法人は、雇用クリーンプランナーなどハラスメント専門資格者を窓口に配置することで、
・法的知識に基づく一次対応
・メンタルケア機関との迅速連携
が可能になり、選手・指導者両方の安心感が高まります。
■ まとめ──「勝利」と「尊重」を両立するカルチャーへ
スポハラは“古い勝利至上主義”の副産物です。
指導者・選手・保護者・スポンサーがともに「人権」と「成長」を尊重する文化を築くことで、競技力とウェルビーイングは両立できます。
今日から「規程整備」「匿名窓口」「教育研修」をセットで実施し、未来ある選手の可能性を守りましょう。
