2026.01.25

北杜市管理職パワハラ処分。「言い返されたから」は免罪符にならない、現場の怒りを制度で制御する|一般社団法人クレア人財育英協会

【出典】山梨 北杜市の50代管理職をパワハラで減給の懲戒処分(NHK)


北杜市の50代管理職がパワハラで減給処分──「てめえ、ふざけんなよ」発言を認定

山梨県北杜市は2026年1月23日、50代の男性管理職が部下に対して威圧的な発言をしたことがパワーハラスメントに当たるとして、減給10分の1・3か月の懲戒処分にしたと発表しました。市は記者会見で経緯を説明し、被害職員や家族、市民に謝罪しています。

市によると、男性管理職はおととし9月、部下職員に対して「てめえ、ふざけんなよ」と発言。これを含め、男女3人の職員から相談が寄せられました。男性管理職は聞き取りに対し、「部下から屈辱的かつ侮辱的な暴言を受けたので、その発言をした」と説明したとされています。


市の判断──「優越的な関係を背景にした威圧的言動」で精神的苦痛を与えた

北杜市は、当該発言が「優越的な関係を背景にした威圧的な言動」であり、部下に精神的苦痛を与えたとして、パワーハラスメントに該当すると認定しました。さらに、当該管理職の発言に関する相談が他にも寄せられていたことなどを踏まえ、総合的に判断して今回の処分に至ったとしています。

副市長は「公務員としてあるまじき行為で重く受け止めている。被害を受けた職員ならびにご家族、市民の皆さまには大変ご迷惑をおかけして深くお詫び申し上げる」と述べました。自治体の管理職によるパワハラが職場の信頼だけでなく、市民サービスの質にも影響するという危機感が読み取れます。


「部下が先に暴言を吐いた」は、なぜ免罪符にならないのか

今回の事案の焦点は、管理職が「部下から侮辱的な暴言を受けた」と説明している点です。現場では「先に言われたから言い返した」「売り言葉に買い言葉だった」という自己正当化が起きがちです。

しかし、職場のパワハラ判断で重く見られるのは、個々の口論の勝ち負けではなく、職務上の権限差がある関係で、上位者が威圧的言動により部下の就業環境を害したかどうかです。管理職は、人事評価や業務配分、日常の指示命令を通じて影響力を持ちます。その立場からの暴言は、単なる「言い返し」ではなく、部下側に恐怖や萎縮を生み、職場全体の安全を損ないます。

同時に、管理職が侮辱を受けたと感じたのであれば、組織は「部下側の不適切発言」も含めた職場コミュニケーションの問題として扱う必要があります。つまり、管理職の暴言を処分することと、職場の対立を放置しないことは両立すべき課題です。


雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──「怒り」を個人の品格問題で終わらせない

自治体の現場は、住民対応、複雑な事務、限られた人員などストレス要因が多く、感情が噴き出しやすい環境でもあります。今回のケースを「管理職の資質の問題」で終わらせると、同種の事案は繰り返されます。雇用クリーンプランナー(KCP)の視点では、再発防止の鍵は次の3点です。

第一に、管理職向けの「感情マネジメント」と「言葉の基準」を徹底することです。怒りを感じること自体は人間として自然ですが、管理職には「怒りをぶつけない」技術が求められます。特に、具体的に言ってはいけないフレーズや、場面ごとの言い換え、エスカレーションの方法を研修で反復し、現場で使える形に落とす必要があります。

第二に、対立が起きたときの「仲裁・記録・再発防止」のプロセスを組織として持つことです。売り言葉に買い言葉が起きた瞬間に、直属上司や人事が介入し、当事者双方の言動を整理し、再発防止の合意を取る。こうした初動が遅れるほど、職場は分断し、相談が増え、メンタル不調につながります。

第三に、パワハラ認定を「処分のため」だけに使わないことです。処分は必要でも、それだけでは職場は変わりません。配置や面談の設計、職場サーベイ、相談窓口の周知など、組織の運用をアップデートして初めて再発防止になります。自治体は「市民サービスのため」にも、職員の心理的安全性を組織として守る必要があります。


結語:公務の現場ほど「言葉の暴力」を軽視しない

「てめえ、ふざけんなよ」という発言は、業務指導ではなく威圧です。市がパワハラと認定し処分したことは、言葉の暴力を見過ごさない姿勢として重要です。

一方で、現場の怒りや対立を個人の品格問題に押し込めるだけでは、同じことが再発します。必要なのは「言葉の基準」「感情の扱い方」「仲裁の初動」を制度として整えることです。一般社団法人クレア人財育英協会は、自治体がパワハラを減らし、職員が安心して働き、市民サービスの質を落とさない組織づくりを支援していきます。

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