2025.09.18

岡山市が「カスハラ防止条例(仮称)」へ前進──6割が被害経験。

いま現場が準備すべきハラスメント対策【雇用クリーンプランナー解説】

1. ニュース概要

出典:読売新聞オンライン

岡山市議会が市内在住・在勤者1,786人を対象に実施したアンケートで、過去5年以内にカスタマーハラスメント(カスハラ)被害を「受けたことがある」と答えた人が全体の6割に達しました。内容は「侮辱・大声・脅迫など威圧的・乱暴な言動」が最多、次いで「長時間の拘束」など。条例の必要性については「制定すべき」が8割超。市議会は結果を踏まえ、「岡山市カスタマーハラスメント防止条例(仮称)」の骨子素案を策定し、11月にパブリックコメント実施→翌年2月定例会へ条例案提出→4月1日施行を目指す方針と報じられています。人手不足下での経済活動への影響も指摘され、就業者と顧客の相互尊重を促す制度設計が焦点です。


2. 問題点の把握(現場で何が起きているか)

カスハラは、不当・過剰な要求や威圧的言動によって従業員の人権や安全、事業運営を侵害する行為です。民間の小売・外食・運輸・医療福祉・コールセンターだけでなく、自治体窓口や学校・公共交通でも表面化しています。岡山の調査結果が示すように、侮辱・大声・脅迫といった直接的攻撃だけでなく、長時間の居座りや電話拘束といった「時間奪取型」も深刻。これは従業員の離職、メンタル不調、機会損失、労務トラブルの連鎖に直結します。


3. 深刻化する理由(なぜ今、増えて見えるのか)

  • SNS・動画拡散のリスク:店内トラブルの撮影・拡散、根拠なき誹謗の可視化で現場の萎縮・炎上が発生。
  • 線引きの曖昧さ:「苦情対応」と「不当要求」の境界が現場任せになりがちで、過剰譲歩やエスカレーションを誘発。
  • 人手不足・多忙化:待ち時間や不備への許容度低下、顧客側の苛立ち増幅。従業員は疲弊し再発リスクが上昇。
  • 制度整備の遅れ:社内規程・訓練・録音体制・警察連携・社外相談窓口などの未整備で実務対応が属人化。

 


4. 雇用クリーンプランナーが勧める具体策(条例化を見据えた「現場で回る仕組み」)

● ① 組織姿勢の明示(ゼロトレランス)と「顧客行動規範」の掲示

入口・案内・ウェブ・レシート等に顧客向け行動規範を掲示し、侮辱・脅迫・土下座要求・長時間拘束などを不当行為として明確化。「安全確保のため録音・録画・警察通報を行う場合がある」ことを事前に周知します。
参考:厚労省ハラスメント対策総合サイト「あかるい職場応援団」(カスハラ対策資材・企業向けマニュアルあり)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

● ② 事実の「証跡化」――録音・記録・ログ

代表電話・窓口は通話録音+時刻ログを標準化。店舗・窓口のインシデント記録票(相手言動・対応手順・関与者・結果)を統一フォーマット化し、3回目以降は管理職一元対応などの閾値を明文化。SaaSやCRMに紐づけて部署横断で参照可能に。

● ③ 現場マニュアル(SOP)と「その場で使える台本」

(1)注意喚起→(2)ルール提示→(3)対応打ち切り→(4)警察通報・退去要請 という4段階フローを、セリフ例つきで整備。「土下座要求は応じない」「不当要求は録音のうえ管理職に切替」の原則を徹底。新人含む全員がロールプレイ訓練を年2回実施。

● ④ 従業員保護とメンタルケア

EAP(外部カウンセリング)の周知、被害時の勤務シフト配慮、通報者の不利益取扱い禁止を規程に明記。重大事案は産業医・公認心理師と連携し、二次被害を防止。

● ⑤ 行政・警察・弁護士との連携と外部相談の複線化

所轄警察と情報共有し、悪質反復者の通報基準を共有。顧問弁護士とのホットライン、地域の商店会・業界団体・自治体窓口と連携し、個店の孤立対応を回避します。

● ⑥ KPIとレビュー(「見える化」して改善)

件数・種別・対応時間・再発率・就業影響(欠勤・配置換え)・離職・eNPSを月次で可視化。四半期ごとに再発防止案を経営会議で意思決定。

● ⑦ 自治体・議会向け:条例設計で押さえるポイント(一般論)

  • 定義と対象範囲:暴言・脅迫・過度要求・長時間拘束・個人情報晒し等を明確化。
  • 市民への要請:公共・民間を問わず相互尊重の行動を求める規定。
  • 事業者支援:標準掲示物・台本・教育資材の提供、相談・助成制度。
  • 行政・教育分野:公共窓口・学校・医療現場向けの特別配慮と迅速通報の仕組み。
  • 運用措置:勧告・指導・公表(必要に応じて)、警察連携の明文化。

※各自治体の法体系・実務に合わせた精査が前提です。


5. いますぐ現場でできる「7日間アクション」

  1. 店舗・窓口・ウェブに顧客行動規範を掲示(暫定版でもOK)。
  2. 通話録音・受付ログの設定確認、録音中アナウンスの導入。
  3. インシデント記録票の統一と保存先の一本化(CRM/共有ドライブ)。
  4. 4段階フロー台本を配布し、朝礼でロールプレイ。
  5. 重大事案の通報先リスト(管理職・法務・警察・弁護士・EAP)を掲示。
  6. 被害者のケア手順(シフト配慮・面談・記録・二次被害防止)を周知。
  7. 翌月からKPIトラッキングを開始し、月次レビューに上げる。

 


6. 「雇用クリーンプランナー」資格のご案内(予防×実装の専門家)

雇用クリーンプランナーは、ハラスメント対策・労務トラブル予防を「掲示物・台本・SOP・教育・記録・連携」まで実装する人材です。
・社内マニュアル作成 ・研修設計と講師 ・相談窓口運用に即活用できます。
オンライン完結・24時間学習対応。詳細は公式サイトへ:https://caa.or.jp


FAQ(よくある質問)

Q. どこからが「カスハラ」ですか?
A. 正当な苦情・要望を超え、侮辱・脅迫・過度な要求・長時間拘束・個人攻撃・土下座要求など従業員の安全や尊厳・業務を侵害する言動はカスハラに該当し得ます。
Q. 録音や録画をしても問題ありませんか?
A. 事実確認・安全確保のための通話録音や防犯カメラは、多くの現場で運用されています。目的・範囲・保管を社内規程に定め、事前周知(掲示・アナウンス)を行いましょう。個別案件は弁護士へご確認ください。
Q. 従業員が危険を感じたとき、どの段階で通報すべき?
A. 身体的危険や脅迫・器物損壊・退去拒否などは即時110番。それ以外も組織ルールに従い、3回目以降の繰り返し・執拗化で管理職一元対応→必要に応じ警察・弁護士連携へ。
Q. まず一つだけ導入するなら?
A. 「顧客行動規範の掲示」+「4段階フロー台本」です。線引きを見える化し、現場が同じ言葉で対応できるだけで、過剰譲歩と属人化を大幅に減らせます。


免責:本記事は公開報道に基づく一般的な解説です。条例や社内運用の適否は個別事情で異なります。具体的判断は弁護士・社労士、所轄官庁・自治体窓口へご相談ください。ハラスメント対策の公式情報は厚労省「あかるい職場応援団」(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/)をご参照ください。

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