2025.07.30
ハラスメント相談窓口設置義務とは――法的根拠・実務ポイント・導入ステップを完全解説|雇用クリーンプランナー
2022年4月から全企業に適用された『ハラスメント相談窓口設置義務』。
「窓口を作ったものの形だけ」「兼務担当で機能しない」そんな声が多いのも事実です。
本稿では制度の背景・法的根拠・罰則リスクから、効果的に機能させる運用ノウハウまでを実務担当者向けにまとめました。
- 1. 制度概要と法的根拠
- 2. 対象となるハラスメントと相談範囲
- 3. 設置義務を怠った場合のリスク
- 4. 相談窓口のタイプ別メリット・デメリット
- 5. 導入ロードマップ〈90日モデル〉
- 6. よくある課題と解決策
- 7. 参考リンク・テンプレート集
- 8. まとめ
■ 1. 制度概要と法的根拠
相談窓口設置義務の根拠は主に下記2法です。
- ● 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
- 2020年6月 大企業→2022年4月 中小企業へ適用拡大。
企業は『相談体制の整備』と『迅速・適切な事後対応』を行う義務。 - ● 男女雇用機会均等法 / 育児・介護休業法
- セクハラ・マタハラの相談体制を義務化。
■ 2. 対象となるハラスメントと相談範囲
相談窓口では以下のハラスメントを扱うのが望ましいとされています。
- パワーハラスメント(優越的地位を利用した言動)
- セクシュアルハラスメント
- 妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメント(マタハラ・パタハラほか)
- その他企業が自主的に定めるハラスメント(カスタマーハラスメント等)
■ 3. 設置義務を怠った場合のリスク
| リスク領域 | 具体的損害 |
|---|---|
| 行政指導 | 是正勧告→未対応で企業名公表 |
| 民事訴訟 | 慰謝料・逸失利益+弁護士費用 |
| 助成金停止 | キャリアアップ助成金など不支給 |
| 採用・ブランド | SNS炎上→応募者減少・取引停止 |
■ 4. 相談窓口のタイプ別メリット・デメリット
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 社内専任(人事・総務) | 組織理解が深い/コスト低 | 当事者バイアス/プライバシー懸念 |
| 外部委託ホットライン | 匿名性◎/専門知識◎ | 月額費用/組織内調整にタイムラグ |
| ハイブリッド(内外2系統) | 選択肢拡大/バランス良 | 運用ルールが複雑化 |
■ 5. 導入ロードマップ〈90日モデル〉
- Day 1–15:方針策定
就業規則へ相談窓口の設置と禁止行為を明文化。 - Day 16–30:体制決定
窓口担当(資格:雇用クリーンプランナー等)を指名、外部委託可否を決定。 - Day 31–60:マニュアル整備
受付→聴取→事実確認→是正→再発防止のフローを策定。 - Day 61–75:教育・周知
ポスター・社内ポータル・eラーニングで従業員へ告知。 - Day 76–90:運用テスト
テスト通報を実施し、応対速度・記録方法を検証→改善。
■ 6. よくある課題と解決策
- 「相談が来ない=問題ゼロ?」
→ 年1回匿名アンケートで実態把握。利用率0%はサイレントリスク。 - 窓口担当が兼務で多忙
→ 外部ホットライン+内部決裁ラインだけを残す。 - プライバシー漏えい懸念
→ 相談記録は自動暗号化/アクセス権を限定し監査ログを保存。
■ 7. 参考リンク・テンプレート集
-
- 厚労省「あかるい職場応援団」
https://no-harassment.mhlw.go.jp
- 厚労省「あかるい職場応援団」
- 雇用クリーンチャンネル(YouTube)
相談窓口の作り方解説動画
■ 8. まとめ
『相談窓口設置義務』は法令対応にとどまらず、企業の持続可能性を左右する必須インフラです。
- ① 法的義務を理解し
- ② 相談しやすい環境を設計し
- ③ 72時間以内の一次対応
この3ステップを徹底すれば、ハラスメントは早期発見・被害縮小が可能になります。
「まだ問題が起きていない今」こそ、相談窓口を『機能する形』で整備しましょう。
※本記事は一般情報をもとに作成しています。実務対応は弁護士・社会保険労務士等の専門家へご相談ください。
