2026.01.08
フリースクール第三者委の「生徒ハラスメント認定」──不登校支援の受け皿を守るガバナンスと労務の再設計|一般社団法人クレア人財育英協会
【出典】生徒へのハラスメント行為を認定 フリースクールの第三者委
第三者委員会が「生徒へのハラスメント」を事実認定、法人の対応不備も指摘
熊本私学教育支援事業団が運営するフリースクール「熊本学習支援センター天草下田南校」で、教師による生徒へのハラスメント行為があったことが、第三者委員会の報告書で事実認定されたと報じられました。
昨年7月と8月に生徒2人が相次いで自主退学し、教師による複数のハラスメントを訴えたことなどから問題が表面化したとされています。
報告書では、教師の発言として「生理中だから仕方ないよね」などが挙げられ、生徒が精神的苦痛を受けたとされています。
委員会はこれらをハラスメントと認定し、事業団側が事実を把握しながら改善を図らなかった点も問題として指摘しました。
聞き取りは生徒本人を含む関係者に行われ、12月に助成元の日本財団へ報告書が提出されたとされています。
職員の集団退職と労務問題が重なり、運営の持続性が問われる
この事業団をめぐっては、運営面を担当する職員8人のうち7人が12月26日に退職届を提出し、1月15日に退職予定と報じられています。
また、残業代未払いなどを含む労務面の問題が指摘され、現場の継続性に影響が出ている状況です。
さらに、現在は熊本市に2校、天草市に1校へ縮小しているものの、フリースクール開校から10年の間にピーク時は13校まで拡大した経緯があり、拡大と人件費増が悪循環を生んだ可能性も語られています。
関係者によれば、昨年度の赤字は約1870万円に上るとされ、支援の場が経営難に直結している構図も浮かび上がります。
利用する子どもにとって「場が揺れる」こと自体が心理的負担になる
不登校問題に詳しい熊本大学大学院の黒山竜太准教授は、フリースクールの経営難や閉鎖が、利用する子どもにさらなる心理的負担を与える可能性を指摘しています。
フリースクールに通うまでに、多くの子どもが人間関係や環境づくりに大きなエネルギーを使っており、閉鎖によって「また一からやり直すのか」となる損失は大きい、という問題意識です。
同時に、フリースクールは公的支援が薄く自助努力が前提になりやすいという構造もあり、社会的インフラとしての支援のあり方が問われています。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──不登校支援の場ほど「安全」と「労務」をセットで設計する
今回の事案は、子どもの支援を掲げる現場であっても、ハラスメントが起き得ること、そして労務の不安定さが支援の質と継続性を揺らすことを同時に示しています。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点から、再発防止と信頼回復の論点は次の3点に整理できます。
① 生徒の安全基準を言語化し、相談が届く導線を常設する
あだ名づけ、性別・身体に関わる発言、夜遅い反省会のような関わりは、支援ではなく傷になることがあります。
何がハラスメントに当たるのかを具体例で明文化し、生徒・保護者がアクセスできる外部性のある相談窓口と第三者の検証機能を常設する必要があります。
② 支援者を守る労務の最低ラインを整備する
残業代や有給などの法令遵守は、理念以前の土台です。支援者の疲弊は、関わりの質を落とし、結果として子どもに跳ね返ります。
勤怠・賃金・休暇・メンタルケアを運営の中核に置き、燃え尽きや離職が起きにくい配置と評価を設計する必要があります。
③ 自助努力依存からの脱却、自治体委託とガバナンスの整合をとる
公的委託や助成が関わる事業である以上、継続性・人材確保・ハラスメント防止のガバナンスをセットで求めるべきです。
市が人材確保を要望し報告を求めているという事実は、支援の場が公共性を帯びていることの裏返しです。運営者任せにしない制度設計が必要です。
結語:フリースクールは「善意の場」ではなく、守るべき社会資本である
不登校の子どもにとって、フリースクールは単なる学習の場ではなく、生活と尊厳を立て直す拠点です。だからこそ、その場でのハラスメントは重く、運営の不安定さもまた子どもへの負担になります。
今後求められるのは、熱意や理念だけに依存しない運営です。生徒の安全、職員の労務、第三者性のあるガバナンスを同時に整備して初めて、不登校支援は持続可能になります。
一般社団法人クレア人財育英協会は、支援現場の「よかれ」が暴走しないための仕組みづくりと、現場が折れない労務設計の両面から、再発防止と信頼回復を支援していきます。
