2025.12.20
【最新】ハラスメントの種類・一覧──パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラまで、名前で迷わず判断と対策につなげる
【出典】
一般社団法人クレア人財育英協会|ハラスメントに関する記事一覧
厚生労働省|あかるい職場応援団(職場のパワーハラスメントの定義)
厚生労働省|あかるい職場応援団(パワハラの6類型)
厚生労働省|職場におけるセクシュアルハラスメント(対価型・環境型)
厚生労働省|令和7年 労働施策総合推進法等の一部改正(カスハラ・就活セクハラ等)
厚生労働省|求職活動等におけるセクシュアルハラスメント 指針の素案
ハラスメントとは何か──嫌がらせの名前ではなく、就業環境を壊す行為
ハラスメントの種類を調べ始めると、一覧が増えすぎて混乱します。
ただ、現場で必要なのは、名称の暗記ではありません。
本質は、相手の尊厳と選択肢を削り、働く環境を劣化させる行為が起きているかどうかです。
職場のハラスメントは、とくに次の3点が重なると深刻化します。
- 力の差がある(役職、評価、業務配分、顧客という立場の優位など)
- 行為が正当化される(指導、業務、冗談、慣習、顧客第一など)
- 被害者が逃げにくい(人手不足、相談しにくさ、沈黙の同調、密室化)
種類が増える社会では、正しさが細かくなります。
一方で、現場の困りごとは細かくなりません。むしろ、言いにくさが増えます。
だからこそ本記事では、ハラスメントの種類一覧を示しつつ、迷いを減らす判断軸と、組織としての止め方まで落とし込みます。
まず押さえるべきハラスメントの主要領域──企業の責任が重いテーマ
ハラスメントの種類を一覧で把握する際は、最初に企業の防止措置が強く求められる領域から押さえると、対応の優先順位が作れます。
- パワーハラスメント(パワハラ)
- セクシュアルハラスメント(セクハラ)
- 妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ等)
- 育児休業等に関するハラスメント(いわゆるパタハラを含む)
- 介護休業等に関するハラスメント
- カスタマーハラスメント(カスハラ)
- 求職者等へのセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)
この7領域は、職場の安全だけでなく、離職・紛争・採用難・評判毀損に直結しやすい領域です。
迷ったら、まずこの枠に当てはめて整理してください。
ハラスメントの種類一覧──代表20類型を一望する
以下は、検索で多いハラスメント 種類を中心に、職場で実害が出やすいものを整理した一覧です。
名称はあくまで地図です。地図を見たあとに、現場で止める仕組みを作れるかが勝負です。
| 種類 | 略称 | 典型場面 | 起きがちな損失 |
|---|---|---|---|
| パワーハラスメント | パワハラ | 叱責、業務配分、評価、隔離 | 休職、退職、訴訟、管理職崩壊 |
| セクシュアルハラスメント | セクハラ | 容姿言及、身体接触、面談、飲み会 | 能力発揮の阻害、採用不信、離職 |
| 妊娠・出産等に関するハラスメント | マタハラ等 | 産休相談後の圧力、退職示唆 | 人材流出、法的リスク、風土悪化 |
| 育児休業等に関するハラスメント | イクハラ等 | 育休申出への嫌味、評価示唆 | 男性育休の形骸化、炎上 |
| 介護休業等に関するハラスメント | ケアハラ等 | 介護申出への圧力、更新不安 | 中核人材の離職、突然退職 |
| カスタマーハラスメント | カスハラ | 暴言、居座り、過度要求、脅し | 現場疲弊、欠員、サービス低下 |
| 求職者等へのセクシュアルハラスメント | 就活セクハラ | 面接での私的質問、誘い、個室 | 採用ブランド毀損、内定辞退 |
| モラルハラスメント | モラハラ | 無視、嘲笑、詰問、孤立化 | 心理的安全性の崩壊 |
| ジェンダーハラスメント | ジェンハラ | 性役割の押し付け、雑務固定 | 多様性施策の空洞化 |
| SOGIに関するハラスメント | SOGIハラ等 | 暴露、からかい、噂、詮索 | 採用難、メンタル不調 |
| アルコールハラスメント | アルハラ | 飲酒強要、断れない空気 | 事故、健康被害、離職 |
| アカデミックハラスメント | アカハラ | 指導、評価、進路、推薦 | 研究倫理問題、退学、離脱 |
| リモートハラスメント | リモハラ | 監視、即レス強要、私生活侵入 | 燃え尽き、パフォーマンス低下 |
| テクノロジーハラスメント | テクハラ | IT差を嘲笑、排除 | DX停滞、学習機会の損失 |
| ロジックハラスメント | ロジハラ | 論破で沈黙させる | 会議の形骸化、提案の死 |
| ホワイトハラスメント | ホワハラ | 正しさの過剰運用で窒息 | 指導不能、陰の処理が増える |
| エイジハラスメント | エイジハラ | 年齢で決めつけ、機会剥奪 | 育成停止、世代対立 |
| スメルハラスメント | スメハラ | 臭いを理由に攻撃、または配慮欠如 | 対立の固定化、孤立 |
| SNSハラスメント | SNSハラ等 | 晒し、誹謗中傷、監視 | 炎上、採用不信 |
| ドクターハラスメント | ドクハラ | 説明拒否、高圧的言動 | 医療不信、クレーム増 |
さらに網羅的なハラスメント 一覧を確認したい方は、当協会が整理したハラスメント100種類一覧も参考にしてください。
一般社団法人クレア人財育英協会|ハラスメント100種類一覧(2025年版)
パワーハラスメント──叱ったかどうかではなく、3要素で見る
パワハラは、怒鳴ったかどうかだけで決まりません。
現場で多いのは、言葉遣いが丁寧でも、業務配分や評価、沈黙で追い詰めるタイプです。
厚生労働省の整理では、職場のパワハラは次の3要素で捉えます。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 就業環境が害される
また、代表的な6類型として、次が挙げられます。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
パワハラ対策で効くのは、人格の教育よりも運用の設計です。
指導の基準、評価の根拠、相談導線、エスカレーションの階段。
これが曖昧だと、善意も悪意も同じように暴れます。
セクシュアルハラスメント──性の問題というより、拒否できない関係の問題
セクハラは露骨な発言だけではありません。
相手が拒否しにくい関係性を利用して、境界線を押し広げる行為が問題になります。
厚生労働省は、セクハラを大きく次の2つに整理しています。
- 対価型:拒否や抵抗を理由に、解雇、降格、減給、更新拒否などの不利益が生じる
- 環境型:意に反する性的言動により就業環境が不快となり、能力発揮が阻害される
現場で見落とされやすいのは、顧客や取引先からの性的言動を、従業員に我慢させる運用です。
顧客対応の名の下に、従業員の尊厳を切り捨てると、組織は静かに崩れます。
マタハラ・育児介護ハラ──制度があるのに使えない職場で起きる
妊娠・出産、育児、介護は個人の事情に見えます。
しかし職場の側が制度を運用できないとき、しわ寄せが個人に集中し、嫌味や圧力が発生します。
妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ等)
- 上司・同僚の言動により、妊娠・出産した労働者の就業環境が害される状態
- 例:産休の相談後に、休むなら辞めてもらうと繰り返し言われる
育児休業等に関するハラスメント(いわゆるパタハラを含む)
- 育児休業等の申出や取得等を理由に、上司・同僚の言動で就業環境が害される状態
- 例:育休の相談をしたら、男のくせにあり得ないと言われ、申出を断念させられる
介護休業等に関するハラスメント
- 介護休業等の制度利用を理由に、圧力や不利益の示唆がなされ、就業環境が害される状態
この領域で重要なのは、倫理ではなく設計です。
引き継ぎの標準化、属人化の解消、業務の分解、代替の準備。
これらがない職場では、善意が摩耗し、悪意が正当化されやすくなります。
カスタマーハラスメント──顧客第一が、従業員の尊厳を切り捨てる瞬間
カスハラは特定業界の問題ではありません。
交通、行政窓口、医療介護、小売、宿泊、コールセンター。対面と非対面の両方で起きます。
そして2025年には、いわゆるカスハラや、求職者等へのセクハラ等に関して、国の法制度が更新されました。
これは、従業員の安全確保が、企業努力の美談ではなく、雇用管理の責任として扱われ始めたことを意味します。
当協会でも、次のようなニュースを踏まえ、カスハラを個人の我慢で処理しない設計を提案してきました。
- 大規模施設が、カスハラ該当時に利用を断る可能性を示し、現場の安全を優先する方針を明確化
- 鉄道会社が駅構内で啓発ポスターを掲示し、自治体でも名札表記の工夫などを進める動き
- 介護支援の現場で、支援者が被害を受ける構造が可視化され、休職や退職につながる深刻な事例が報じられる
カスハラ対策で外せないのは、次の2つの両立です。
- 正当な申立てを潰さない
- 許容範囲を超えた言動を現場に背負わせない
現場の担当者が、その場で線引きを完璧にできることは稀です。
だからこそ、組織として、誰が交代し、どの条件で対応を切り替え、何を記録し、どこへ連携するかを決めておく必要があります。
求職者等へのセクシュアルハラスメント──面接と採用の場は、すでに職場の延長である
就活セクハラは、面接やインターン、説明会、OB訪問など、採用に関わる場で起きます。
オンラインでの面談やSNS等を介したやり取りも、例外ではありません。
厚生労働省の資料では、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを、
事業主が雇用する労働者による性的な言動により、求職者等の求職活動等が阻害されるものとして整理しています。
採用の場で起きる被害が厄介なのは、被害者が声を上げにくい点です。
落とされるかもしれない。関係が途切れるかもしれない。評価がつくかもしれない。
この沈黙を前提に、境界線を押し広げる行為は、組織の採用ブランドそのものを壊します。
増殖する呼び名との付き合い方──名前を増やすより、判断軸を増やす
モラハラ、ジェンハラ、ロジハラ、ホワハラ。
ハラスメントの種類一覧は今後も増えます。理由は単純です。職場が複雑になり、人の感じ方が多様化し、摩擦が可視化されたからです。
ここで、名称を増やす方向にだけ進むと、別の問題が起きます。
何でもハラスメントに見えるか、何も言えないか。両極に振れます。
だから当協会は、種類の暗記ではなく、次の判断軸を推奨します。
- 優位性は何か(役職、評価、顧客、情報、人数、同調圧力)
- 必要性と相当性はあるか(業務上の目的、代替手段、頻度、場所)
- 就業環境への影響は何か(萎縮、健康悪化、孤立、退職、パフォーマンス低下)
呼び名が違っても、壊れるのはだいたい同じ部分です。
尊厳、発言権、回復の余地。そこを守る設計に戻ることが、最短距離です。
ハラスメントか指導か──境界線を分ける5つの問い
現場の不安は、指導したらパワハラと言われるのではないかに集まります。
この問いに対して、精神論ではなく、根拠で線を引けるようにするためのチェック項目です。
- 目的は業務改善か、感情の放出か
- 根拠は基準と事実に基づくか
- 方法は相手の尊厳を守る形か
- 場は公開処刑になっていないか
- 代替は検討されたか(教える、支援する、配置を調整する)
指導は、相手の将来の行動を増やすために行うものです。
相手の行動を減らし、声を失わせるなら、指導の形をした支配になっている可能性があります。
企業が整えるべき7つの仕組み──個人の我慢から、組織の運用へ
ハラスメント対策は、研修だけでは回りません。
必要なのは、現場が迷ったときに参照できる運用の型です。
- 方針の明確化:何を許さないか、何を守るか
- 相談導線の複線化:直属外、外部窓口、匿名も含める
- 初動の手順:安全確保、記録、緊急時の対応
- 事実確認の標準化:聞き方、証拠保全、偏りの抑制
- エスカレーションの階段:誰が交代し、どこへ連携するか
- 再発防止の設計:評価、業務配分、会議運用の見直し
- カスハラの現場基準:正当クレームと迷惑行為の切替条件
ハラスメントを個人の人格に回収すると、短期的にはスッキリします。
ただ、運用が変わらなければ、次の人が同じ場所で同じ損失を払います。
組織が払うべきコストは、断罪の快楽ではなく、再発を止める設計です。
雇用クリーンプランナー(KCP)の視点──名前の羅列を、判断軸に変える
当協会が重視しているのは、次の転換です。
ハラスメント対応を、現場の個人技から、組織の共通言語へ。
① ハラスメントの種類一覧を、現場の判断フローに翻訳する
- 一覧は地図です。地図を見たら、次に必要なのは分岐点です。
- 相談が来たら、記録、初動、連携、事実確認、措置までを一気通貫で整理します。
② カスハラを、従業員の根性論で処理しない
- カスハラは、サービスの問題ではなく、雇用管理と安全配慮の問題です。
- 現場に背負わせず、組織として交代と連携のルールを作ります。
③ 増殖する呼び名に振り回されず、共通の判断軸で整える
- モラハラ、ロジハラ、ホワハラ。呼び名が違っても、崩れるのは尊厳と発言権です。
- 優位性、必要性と相当性、就業環境への影響。この三点で統一します。
結語──ハラスメントの種類一覧を読んだあと、あなたの職場は何を一行で書けるか
ハラスメントの種類を知ることは、第一歩です。
しかし、一覧を増やしても、現場が止められなければ意味が薄い。
逆に言えば、一行の運用が書ける職場は強い。誰が、どの条件で、何を根拠に止めるのか。
いま、あなたの職場では、次の一文が書けるでしょうか。
困ったときは、ここに相談すればよい。ここまでが許容で、ここからは止める。
その一文を書けないまま、私たちは今日も、正しさの増殖に追われていないでしょうか。
